ご紹介ありがとうございます。そして本日ご招待いただきありがとうございます。 私は日米安全保障関係は日米だけに限らず地域全体において非常に重要であると考えております。本日は非常に重要なそして影響力のある皆様方と日米安全保障同盟についてお話できる良い機会だと考えております。
 在日米軍司令官がこのフォーラムでお話させていただいてからもう2,3年経っていると石川様からお聞きしました。次回はもう少し早く呼んでいただけるよう今日は一生懸命頑張りたいと思います。これまでの日本そして沖縄での勤務経験を通して私は日本そして沖縄の皆様への感謝の気持ちが深まり、また日本人の寛大さ、受容力、価値観、仕事への倫理観そして安全保障同盟の成功への献身さに対し敬意を表しております。
 最近私が良い傾向にあると考えている事の一つは、日本政府内でそして日本社会において相互安全保障についてより周到に審査する必要があるという認識が高まっている事です。
まずは日米の二国間関係の概観という基本的なことからお話させていただきます。そして現在そして将来我々の駐留がこの地域にどのような重要性をもたらすのか私の考えを申し上げたいと思います。そして最後に皆様が読んだり、また最近書いたりなさっているニュース性のある再編制を含む懸案について少し述べさせていただきます。皆様は米軍の再編制という言葉をお聞きになっているかも知れませんが余り詳しくはご存知ないかと思います。日米
 安全保障同盟は40年以上にわたりこの地域の安定の礎となっております。米軍の日本への駐留は1960年の安全保障条約に由来し、米軍は日本を防衛し、極東の平和と安全に貢献するという任務を負っているのです。
1997年に日本の国会は新防衛ガイドライン法案を承認しました。これは1978年の日本の防衛の骨格を拡大したものです。このガイドラインは平和維持、人道支援、米軍の後方支援や情報共有の改善に焦点を合わせたものです。新ガイドラインではまた軍と軍との計画を認める為の包括的な立案メカニズムを確立しました。この画期的法案は同盟の焦点を広げ、地域の緊急時におけるパートナーの順応性のある対応能力を増しました。 こんにちの脅威の情況においてこの順応性は非常に重要なものです。
 防衛ガイドライン法が通過して以来、在日米軍と自衛隊は東アジアにおける脅威に対する能力、これはいろいろなシナリオにおいて、また東アジアの安全保障への脅威に対応する能力の改善といった共同の能力を堅実に改善してきております。
太平洋アジ地域のことを申し上げますと、去年の9月に発表された国家安全保障戦略では日本が引き続き地域または世界の案件のリーダー的役割となる事を求めています。この協力体制は我々に共通する関心事、価値観、密な防衛及び外交協力を基盤にしたものです。
またこの関係を維持しこの地域の平和と安全を引き続き促進する為、国家安全保障戦略の中では同盟国に対し義務を果たし、この地域に軍を引き続き保持し、必要条件、技術的進歩及び戦略的環境を満たすと述べております。
要するに日本の防衛は我々の第一優先任務なのです。地域の平和と安定が第二の任務であります。我々はこれから先も引き続きこの任務を果たし、安全保障関係のこの二つの任務を遂行する為日本における我々の軍事力を維持する事を保証いたします。
この力強さそして活力を見ても、日米安保同盟は太平洋アジア地域における安全構造の要となっているのです。この同盟は今まで以上に重要であり二国の協力体制はこれまでになく密である事を喜んで申し上げたいと思います。 この協力体制は同盟が作られた50年以上前には考えられなかった国際テロという新しいタイプの我達の共通する敵との戦いにおいて試され、すばらしい対応が出来る事が証明されました。
我々は小泉首相が再び自ら進んで我達の利益と連合への支援を最初に表明した世界のリーダーの中のお一人であることを申し上げたいと思います。実際、その支援は戦闘作戦が行われるかなり以前からのものであり、また日本国民の大半がイラクにおける軍事作戦に反対であるという事実に小泉首相が直面していた時期であった事は米国にとって非常に重要な事でありました。この事は米国政府のリーダーに対し日本は継続して信頼できる国であるということ、特に逆境においてもそうであるという事を証明したのです。 
 日本との安全保障を維持、開発、改良をしていくことへの支援が毎日の職務である私にとって大変喜ぶべき事は、日本が独自の意思でその支援を決定したという事実です。何故なら、日本もまたイラクへの対応は適切で正しいことだと認識したからです。 イラクにおける日本の自衛隊の存在は日本が国際的な影響力の行使を喜んで遂行することへの、そして今日世界で直面している難しい問題を解決するという証となっています。これは確かに日本にとって歴史的なステップであり、日本政府から受けている支援に対しイラクの人々が大変に喜んでいると申し上げて良いのではないでしょうか。
この様な支援と共に日米同盟はアジア太平洋地域での平和と安全の為の支えとなり続けるであるのみならず、世界の他の地域での支えにもなると確実に申し上げることが出来ます。 我々2国間で協議し協力していかなければならない課題は数多くあります。その様々な課題は、地球規模のテロリズムと核武装した北朝鮮に対しての懸念を含めて、安全保障態勢とその利益に対しての重要な国際的議論へと日本を前進させたのです。我々は今、戦略的対話が新たに重要視されている事を心から歓迎いたします。
皆様も報道を通してご存知でしょうが今年の9月から米海軍は日本海にイージス戦闘システム搭載の駆逐艦を配備します。これは北朝鮮を含む他国からの攻撃に対するミサイル防衛ネットワークを構築する共同作業の一部であります。私はこの地域における戦域弾道ミサイル防衛能力の向上に期待しています。
また、両国は外交面での活動も継続して行っていきます。アメリカの目標である、プルトニウムと濃縮ウランの核計画を含む「検証可能かつ後戻りできない完全な核放棄」は北朝鮮以外の参加国が受け入れました。協議が日米の相互利益にとって進展していることをうれしく思います。六者協議は核問題を超越し北東アジア地域の定期的な安全保障フォーラムに発展する可能性もあります。しかしながらやらなければならない仕事はまだ多くあります。
ここで在日米軍の将兵についてお話させていただきます。安全保障条約の維持のため米国は5万8千の軍人を日本に駐留させています。この人数は米国が海外に派遣している国の中ではイラクを除いては一番多い数となっております。この軍人達は5千5百の国防省職員そして2万5千の日本人従業員達に支えられております。またこれに5万2千の家族を加えますと、日米安保条約に携わる人数は14万近くにもなります。これはアメリカ側だけの数です。
米軍は本州、九州そして沖縄の88の施設に分散されております。在日米軍駐留費は一年間に80億ドルを超え、このうち日本政府は経費の約半分の40億ドルを負担しております。 これは大きな額であります。しかしこれは両国にとって重要な投資でもあるのです。非常に大きな防衛予算と比較するとこの比較的少ない投資で、 USSキティーホーク率いる海軍空母部隊や1万8千の海兵隊遠征軍、第五空軍その中にある戦闘団、空輸団や特殊作戦グループなどを日本に置くことが出来るのです。これらに加え日本政府は米国陸軍、沿岸警備隊、米陸軍に所属する兵士や特殊作戦部隊の2千人、そして小規模でありますが非常に重要な沿岸警備隊の日本における連絡事務所からも強力な協力を得られるのです。
太平洋軍に属す部隊及びそれ以外の部隊が日本に駐留する部隊を援護している事を心にとめておく事が重要なのです。日本の平和、繁栄、安全を継続する為のかなり大きな任務を果たしているのです。 この地域の安全を保持する為また日米安全同盟を維持する為、我々がこれらの部隊を重要視している事は言うまでもありません。我々は軍がよく訓練され常に即応態勢にいられるよう日々努力しております。 それにもかかわらずこの種の訓練には固有のリスクがあります。
我々は人間として可能な限りリスクを軽減する為の特別な努力を注ぎ込んで活動しております。しかしながらそれでも尚かつ不幸な出来事が起きた場合に対応する為、米国は包括的そして徹底した調査手順を確立しております。この手順は米国を含む世界中で行使されております。さらにこれは地位協定(SOFA)及び日米合同委員会協定に従い適用されています。手順としましてはまず安全調査を召集します。この安全調査は事故の原因を限定し、また二度と事故が起きないよう出来る限りのことを学ぶ為のものです。航空機事故により死者または深刻な財物損壊が出た場合は事故原因及び責任、負傷の状態、そして財物損壊の状態を見出す為事故調査または海兵隊が JAGMANと呼ぶ調査が行われます。JAGMANは安全調査に加え、またそれとは別に行われます。
我々の事故への対応の中にはいろいろな目的の為に現場を保護する事が含まれております。市民や軍人の安全を確保する事に加え、調査の為に現場の保護をする事も重要なのです。
報道されている事とは反して、米国はこの手順の全体を通して地元当局と協力態勢である事を断言いたします。我々は不安定な情況下においてご尽力いただいた事故現場に駆けつけた沖縄の消防士及び警察官の方々に感謝の意を表したいと思います。現在我々は事故分化委員会を通しこの手順のあらゆる観点に関し日本政府と共に見ております。JAGMANの調査が終了次第、日本の関係当局に事故調査書が公開されます。
在日米軍は安全対策に真剣に取り組んでおります。安全な飛行や軍のオペレーションは沖縄や日本の市民の方々にとって重要なのと同じに我々の軍人にとっても重要なのです。
このことは私が簡単に申し上げたい最後の論題であります再編成にと続きます。再編成は、より良い武器を生産する為の新しい技術を使用すること、もしくは一つの部隊を即座に違う場所へ動かすといった限られた事だと思っていらっしゃる方がいます。しかし、再編制の概念はより包括的なものです。
ブッシュ大統領は今月初め、朝鮮戦争が終結した1953年に米軍の冷戦態勢においての主要な要素が設定されて以来始めての徹底的な在外米軍の再編成を国防総省が執り行っていることを発表しました。
 この再編成は21世紀の脅威への対応を方向づける為に冷戦後の防衛態勢から米軍を再配置するものです。私達は将来におけるより効果的な軍運用を可能にする態勢にしていきたいのです。より柔軟性があり、必要な時には世界中どこへでも展開できる強力な能力を備えている態勢です。
皆さんが最近聞いておられるような単独主義ではなく、米国は我々の同盟と他国とのパートナーシップが戦略の要であることを認識しています。従って、これ以上進める前に米国は日本の防衛、又は世界中、どの国々の友人や同盟国をも防衛するという確約を変更することは全く無いのだということを申し上げることは大変重要であると思います。 この地球規模での防衛態勢の見直しは5つの主要テーマから成ります。第一に、同盟国の役割を広げ、新しいパートナーシップを構築することです。米軍再編成を踏まえつつも、同盟国と友好国にとって共通の利益を守り防衛することを米国が確約するということを皆さんにご理解頂く為にも我々は取り組んでいます。 第2に、不安定さに対応する柔軟性を開発するということです。私達は自分達の基地がある場所で戦闘するとはもはや考えておりません。ですから、身軽で機敏な軍事力が必要です。使いやすい能力とは簡易で迅速な展開ができ、問題が紛争になるのを防ぎ、又、紛争が戦争になってしまうのを防ぎ、そして戦争になってしまった場合には勝利する為に支援できる能力です。
第3には、地域だけのみならず地球規模に焦点を当てることです。私達はただ単に地域だけを見ているのでは無く、地球規模での軍事力を考えているのです。世界中のどこの戦闘地域にも移動できる、又地球規模での軍事力をマネージできる能力を備えた軍事力が必要です。
第4に、以前申し上げましたように、我々の前方展開は実際に配備されている基地において戦闘をすることはないでしょう。従って迅速に展開することが必要になってくるのです。こういった概念から、米軍はホスト国内またはそれ以外へ迅速に移動可能でなければなりませんし、それは法的で柔軟性のある支援調整を同盟国とパートナーの間で可能な関係を築くことを優先的にすべきであるということです。
最後に、防衛政策の鍵は能力であるということを認識することです。つまり軍人の数や基地の数ではないのだということです。新しい技術、新しい政策そして戦術により、規模の大きな軍事力を必要とした時代に比べ、比較的小さい規模であってもこんにち必要とされている目的を果たすことが出来るのです。
これまで我々の同盟国と友好国が行ってきた数多くの協議の目的は、我々の軍事構造再編成にあたって、軍人や特定地域の部隊の数を減らしたり増やしたりすることに関わらずに、米国が我々共通の利益を保障する為に支援する能力を高めるのだということを皆さんに示す為なのです。
 つまり、申し上げたいことは、適切な軍、適切な安全保障関係、そして適切な権威と地球規模で作戦を実行できる能力を備えてこの不安定さに対処する態勢が必要であるという事です。 最近の事件が私達に示したように、今日世界では多く事件が起こっております。私達はこの東アジアにおいて手ごわい隣人と共に暮らしています。現在多くの不安定要因があり、また将来にもあることでしょう。しかし我々が行動に移る前にその不安定要因が現実のものとなるのを待っているわけにはいかないのです。
我達は同盟関係を維持し、将来もその同盟関係を強化し生存可能なものにしていくという目標に引き続き焦点を当てて行きます。日米同盟関係は地域の安全と安定にとっての楔であり続けるのです。継続して皆様の貴重なお時間そしてご拝聴ありがとうございました。それではただ今から質疑応答そしてコメントを頂きたいと思います。有難うございました。

 

日米安全保障関係講演
日本記者クラブ(2004・8・26)