平成25年度JAAGA総会が5月9日(木)、グランドヒル市ヶ谷において講演会、懇親会とともに開催された。

【総会】
 平成25年度の年次総会は、15時から1時間余にわたり開催された。正会員総数244名の内、出席者62名、委任状提出者158名であり、会則の規定により総会は成立し、審議等が進められた。
 開催に先立ち、昨年度ご逝去された故小松利光氏、故山田良市氏、故榎本隆氏の御冥福を祈り黙祷を捧げ、会長挨拶、議案審議、新役員の紹介、新顧問等の委嘱、退任者の紹介の順で実施された。
 吉田正会長からは「JAAGAの設立以来17年目に至り、空自と米空軍との相互理解及び友好親善を推進し、日米両国の信頼関係の向上に貢献するとした設立目的に十分合致した活動が鋭意なされている。予断を許さぬ北東アジアの情勢下にあって、先般、沖縄の反米感情が高まった際は『沖縄を含む日本のサイレント・マジョリティーは日米安全保障の重要性を十分に理解している』旨のレターをJAAGAから在沖縄の米空軍指揮官に送付した。幸いにして、前第5空軍司令官のフィールド空軍中将は国防総省の空軍司令部A3/A5として米国国防政策の中枢を担い、現第5空軍司令官アンジェレラ空軍中将は5回の日本勤務を有する知日派の将官であり、日本の国内状況をよく理解してくれている。空自と米空軍、ひいては日米両国の信頼関係の醸成が今まさに必要とされており、JAAGAの目的の真価を問われている時と言える。JAAGAの真摯な活動実績は米空軍側にも着実に伝わっており、本年度もその努力を誠心誠意進めていきたい」との挨拶があった。
 続いて、議案審議に移り、平成24年度事業報告、同決算報告及び監査報告並びに平成25年度事業計画及び同予算に関する各々の議案について担当理事から説明があり、いずれも提案通り承認された。また、JAAGAの活動に係る各種の検討すべき事項について意見が交わされた。最終議案として、役員の選任が行われ、副会長、監事、顧問、新任理事等の新年度の役員が選出された。最後に、新旧役員の紹介と顧問委嘱が行われ、各役員には暖かい拍手が送られた。

【講演会】
 第5空軍司令官兼在日米軍司令官サルバトーレ・アンジェレラ空軍中将による講演が16時半から18時までの間、「東アジアの安全保障環境への米軍の対応と国防予算削減の影響」の演題で実施された。
<演題に基づく講演>
 冒頭、JAAGAが設立された1996年に、第5空軍司令官の副官として日本での最初の勤務した時から現在に至る間のJAAGAと司令官の交流が披露され、JAAGAの活動に関する敬意と感謝が述べられた。
 本論においては、半世紀を超える日米同盟が北東アジアのみならずアジア地域全体の平和と安定に寄与してきた経緯を振り返るとともに、併せて、大規模災害、人道支援等の多種多様な活動も含め、多国間による共同対処の枠組み構築の重要性を語った。
 具体的な内容としては、2012年のオバマ政権による国防戦略指針により、経済成長の著しいアジアに軸足を置いたリバランスが推進されようとしているが、在日米軍においても、日米間の緊密な連携のもと、安全保障の取り決め強化、日米間で合意された各種再編の実施、相互運用性の向上等が僅々の課題であると述べた。同時に、米国国防予算は大規模な削減計画の渦中にあり、各種の施策により、予算削減下にあっても空軍の活動の柔軟性を確保し任務を継続していくと語った。
 この様な状況下にあって、特に、広大で多様な太平洋地域の安定に資するため、多国間の共同対処は極めて重要であり、コープノース・グアムの共同訓練が日米の二国間から、日米豪へと発展し、今回、人道支援活動に韓国がオブザーバー参加した事を意義深い事例として紹介した。更に、弾道ミサイル防衛、沖縄オスプレー配備、横田・座間における日米指揮調整機能の強化も、日米間の信頼に基づく緊密な連携がベースとなると語った。
 結びとして、今後、アジア太平洋地域の明るい未来が進展するためには、関係各国が相互に理解を深め尊重し共に平和的関係を築く思いを高め合う事が緊要であり、日米同盟はその中核となると述べ講演を終えた。
<聴講者との質疑応答>
 講演の後、質疑応答の時間となったが、和気あいあいとした雰囲気の中で司令官の日本に対する想いが語られた。
 まず、現下の情勢における中国との関係については、緊密な日米同盟が存在する事を踏まえた上での米中関係である事を、先般のデンプシー統合参謀本部議長のアジア歴訪と併せて語った。
 国防予算削減の過程にあって活用すべき新たなテクノロジーに関する質問に対しては、ISRが極めて有効であり、初期投資は高額となるが統合された情報の共有機能は費用対効果において着目すべきキー・テクノロジーであると述べた。
 米軍内における空軍と他軍種との関係については、空自と米空軍の良好な関係と同様、信頼関係は緊密な人間関係に基づくものとして、陸軍、海軍、海兵隊のカウンターパートとの人間関係をユーモア溢れる語り口で紹介した。「各々、時に異なった見解を持ち意見対立もあるが、その際、自分自身が見逃してしまった重要事項に気付く事も多い」とし、この点は空自との関係においても全く同じだと経験を吐露した。
 米軍基地と日本の周辺自治体等の関係の質問については、各在日米軍の基地司令に対して、積極的に周辺自治体の方々とふれ合い日本文化の理解に努める様に話しており、自分自身も機会を捉えて交流を深めていきたいと述べた。
 日米交流に係る質問に関して、聴講者の御婦人から「今後の日本はどうしたらよいのか。日本の友人として語ってほしい」との問いかけがあり、次の様な司令官の真情を交えた日本に対する想いが伝えられた。
 「私は都合5回の日本勤務をしましたが、今回は家族と日本の係りをお話しします。妻は最近も空幕長や総隊司令官の奥様、その他の空自の御婦人達と日米夫人プログラムを通じ、日本の文化、習慣について貴重な経験をさせていただいています。娘や息子は三沢の幼稚園時代や横田のハイスクールで過ごした頃を大変なつかしいものとし、日本語も少し話せます。息子は現在大学で学びかつ留学生を教える立場にありますが、休暇時に本人のみならず大勢の友達を連れて来日しました。日本の文化に対する熱い想いを大勢の友人に共有させたかったのです。妻は天ぷら、娘はラーメン、息子は寿司が好物ですが、私はそれら全てが大好きです。
 最近、富士山が世界遺産に登録され、2020年の東京オリンピック招致活動も盛り上がってきました。お尋ねの御質問に答えさせていただくならば、日本の方々は自信を持って、日本の自然や文化をどんどん発信していく事が大切と思います」この応答に、満場和らいだ情感が醸し出されその余韻を残しつつアンジェレラ司令官との質疑応答は終了した。

【懇親会】
 懇親会は18時15分から約1時間半にわたり、200名近い関係者が集まり実施された。航空幕僚長片岡晴彦空将、補給本部長吉岡秀之空将、幹部学校長吉田浩介空将、航空幕僚監部等の関係者、米空軍からは第5空軍司令官兼在日米軍司令官サルバトーレ・アンジェレラ空軍中将、第5空軍副司令官ジェリー・ハリス空軍准将、横田基地関係者そしてその他の来賓が出席して盛大な懇親会となった。
 冒頭、日米両国の国歌吹奏の後、吉田会長から「JAAGAが設立された目的は空自と米空軍の間の相互理解と信頼を深めるため各種の活動を通じて貢献していこうとするものでした。この目的に即して本日の懇親会では、旧知の方も、初めてお会いになる方も胸襟を開き、おいしい料理とお酒を食しながら、日米間のフレンドシップをさらに深めてください。本宴席における御挨拶は会長たる私からのみとさせていただきます。大いに楽しんで良い思い出を作っていただければ幸いです」との英語によるスピーチがあった。
 今回は初めての試みとして、より親密な懇親の場を設けるため、会長の挨拶以外は全て自由な懇談の時間とされ、会が進むにつれて「北東アジアの安定」「各種共同訓練の成果」等のやや硬めの話題から「SPORTEX等のゴルフ談義」「日本の国内旅行」「家族の近況」「日米夫人プログラム」等の和やかな話題まで、硬軟併せた懇談の輪が会場各所で作られた。予定の2時間弱の宴はたちまち経過し、司会進行の閉会アナウンスに係らず、最後までフレンドシップの熱醒めやらぬ懇親会となった。(杉山理事記)

 

平成25年度JAAGA総会開催