私は、今までの富士学校や入間基地など、自衛隊関連施設の見学は何度かありますが、米軍基地の見学は初めてでした。また、基地施設の見学だけではなく、学生代表として中将の部屋で、挨拶をしたことは何より印象に残っています。さらに、准将に現在の日米関係・イラク問題などについて直接質問をできたことは、大変貴重な体験です。私にとって最大の収穫は2 点あります。それは、米軍が日米同盟を非常に重視しているということが理解できたことと、准将から直接アメリカの政治 (外交・安全保障政策)についてお話しを聞けことです。 日米関係から考えてみたいと思います。現在アメリカはイラクの統治に手を焼いており、非常に窮しているというのが実情です。ですから、アメリカは日本国に自衛隊を派遣してもらい、少しでも負担を軽減したいと考えています。自衛隊派遣について、国内世論は2つの意見に集約されていると思います。1つ目は、自衛隊を派遣して日米同盟をさらに強固にし、今後の北朝鮮問題解決に協力を求めたり、きれいな話ではありませんが、イラク復興事業の入札参加資格・石油取引など、さまざまな事に対し有利にはたらけば、これも国益の一つであるという考え方と、2つ目は、自衛隊を派遣せず、国連による復興決議を待ち、国連中心主義を貫き、国連旗のもとで自衛隊を派遣し、原理・原則を貫くのも国益であるという考え方があります。そこで私は、ブリーフィングや質疑を通してもう一度、我が国が抱える問題を考えてみると、「尖閣諸島問題」・「北方領土問題」・「北朝鮮核開発問題」などは、核保有国や独裁国家などが相手国です。専守防衛に徹し、相手国内に攻撃を仕掛けることのできない自衛隊では、到底日本の安全を保障することはできません。安全保障は「抑止戦略」と「軍備管理」の上に成り立っています。我が国は日米安全保障条約が、これらを成り立たせ、極東のパワーバランスを保っています。しかし、今アメリカに日本から兵を引かれたらと、真剣に考えたら恐ろしいものがあります。ですから、私は自衛隊をイラクに派遣し日米同盟を強固なものにして行かなければならないと強く感じました。世間一般に、アメリカは世界の国々に基地を置き、世界の軍事力を掌握しようとしているといった意見などがありますが、この考えが全く当たっていないとは思いませんが、実際に働いている、現場の在日米軍は、日本を同盟国と強く意識し、日本国民に日米関係のあり方を真剣に考えてほしいという気持ちが、ひしひしと伝わって来ました。会食のときに准将から聞いた共和党と民主党の外交政策は、両党ともほぼ変わらず、政権交代が行われても、ぶれないと准将がおっしゃっていて、その通りだと思いました。日本の場合、自民党がアメリカ重視なのに対し、民主党は国連中心という姿勢をとっています。民主党は、政権交代を目標にしているなら、まず現実を直視してアメリカとの関係をどの様にしてゆくのかを明確にしてゆかない限り、安心した安全保障のあり方が国民に理解されないので、政権は獲得できないと思います。 今回、与党・野党第一党の議論を見ても自衛隊を派遣することが問題ではなく、自衛隊を法的にどの様な位置付けで派遣するのかというものであり、過去の野党第一党に比べると少しずつではありますが、現実的な議論が始まったと思っています。私は今まで、どちらかというと法的な根拠や、原理・原則を貫くことが必要だと思っていました。しかし、現在進行している問題を解決するためには、正論だけでは決して解決できない問題もあり、政治の難しさをあらためて感じました。非常に有意義な横田基地見学となりました。関係者の方々に感謝します。   (平野干城さんの所感)

大学院生の横田基地研修所感(代表)