JAAGA講演会: 統合幕僚監部運用部長 齋藤空将 平成21年11月19日(木)、14:00からグランドヒル市ヶ谷において、統幕運用部長齋藤治和空将を講師としてJAAGA講演会が開催された。演題は「統合運用の今」であり、統合部隊運用への会員の関心も高く、約100名が聴講した。  講演に先立ち司会から講師の紹介がなされた。講師は防大22期生で、F15戦闘機操縦者として活躍されたあと、米空軍指揮幕僚課程を経て、第6航空団司令、航空救難団司令、空幕運用支援・情報部長、航空総隊司令部幕僚長を歴任され、本年3月、現職に就任された。
 講師は、冒頭、先輩である司会永岩理事からの丁寧な紹介に感謝の言葉を述べられ、講演を開始された。はじめに、平成18年3月の統合運用開始以降の自衛隊の活動状況に触れられ、警戒監視、ミサイル対処、災害派遣、国際平和協力活動など、様々な活動に従事し、活動は益々「多様化」、「国際化」(GLOBAL ACTIVITY)していることを説明された。以降、具体的に、「弾道ミサイル対応」、「東シナ海における警戒監視活動」、「災害派遣活動」、「海賊対処行動」について説明された。
 「弾道ミサイル対処」では、統幕に着任直後から対処に没頭したことなど、裏話を交えながら、北朝鮮の危険区域が設定されてからの自衛隊の準備命令、破壊措置命令、編制、展開状況などについて説明された。PAC−3の首都圏への展開に当たっては、警察が大変協力的だったことなども紹介された。
 「東シナ海における警戒監視活動」では、東シナ海周辺監視飛行による油ガス田等の状況を継続把握していること、あるいは、日台新航路への対応をしていることなどの事象を紹介された。
 「災害派遣活動」では、統合運用前・後の震災対処勢力の比較をされ、運用の一元化による成果を説明された。また、官邸等との連絡体制が整い政府が一体となった対処が行われていること、災害派遣に係る協力要請・各自衛隊間の連携が深化してきていることなどが説明された。
 「海賊対処行動」では、アデン湾における、アジア・欧州を結ぶ重要な海上交通路の状況、海賊の現状を説明され、派遣部隊の編成・活動内容、護衛調整、関係国・関係機関との連携、そして、対処の状況について、逸話を含めながら紹介された。
 おわりに、人材を育成し、わが国に最適な統合体制を確立していく必要があること、そして、指揮統制機能、情報共有基盤、高い警戒監視体制、機動展開力、国際活動のための体制、関係省庁との連携における統合運用の見直しの方向性が必要であることを述べ、今後の統合運用の方向性についてまとめられた。 質疑応答では会員から、災害派遣の地方自治体との連携の実態、離島防衛の検討状況、周辺事態対処の検討状況などについての質問がなされ、時間的制約があったが講師はこれらに丁寧に回答をされた。講演終了後、会長から講師への謝辞があり、記念品が贈呈された。 (源理事記)


 

 

JAAGA講演会 : 統合幕僚監部運用部長 斉藤空将