9月28日(土)から29日(日)にかけて、米空軍士官学校から防衛大学校に留学している米空軍軍人3名(Aoyama候補生,Jade LY候補生,Pagel候補生)を引率してホストファミリーを務める吉田、岩本理事及び空自OGの肥田木夫妻はJAAGAが主催する日光研修を実施した。
 28日(土)朝、JR東京駅を集合場所としていたところ、東京駅丸の内口改札付近は、規制が敷かれ物々しい雰囲気であった。留学生達はその規制にちょうど合い、改札寸前でロープにより立止めされ、何のための規制が判らないまま最前列に立ちすくんでいた。なんと彼らの目の前に現れたのは天皇・皇后両陛下であった。茨城国体開会式ご出席のための移動に偶然にも出くわすというビッグサプライズの出発となった。
 東京駅から留学生が憧れていた新幹線で移動した。車内では、留学生の生い立ち、8月の来日からわずか数週間の間に留学生のみで行った富士山登山のエピソード、今後12月までの日本滞在間の行動予定などを話して宇都宮駅に到着した。
 宇都宮駅では、堀川典子様(JAAGA個人賛助会員高柳實様のご息女)、佐藤真紀子様(宇都宮海星女子学院教諭で堀川様の従妹)及び宇都宮海星女子学院の生徒3名が星条旗を手に出迎えて下さった。生徒達は全員が英会話部所属で、今回の研修支援を待ち焦がれていたとのことであった。
 駅近くのホテル内のレストランで昼食をとり、2台の借り上げ車両に分乗し最初の研修地である「輪王寺」、世界遺産「日光東照宮」、「憾満ヶ淵の化け地蔵」を見学した。生徒達は、海外での生活や留学経験を有しており英語も堪能で、事前に各観光名所の下調べをしたファイル片手に英語で2日間、本研修の支援をしてくれた。留学生達は、マンツーマンで対応してくれる生徒達と息も合い、リラックスして研修を楽しんでいた。
 その後、再び宇都宮市内の宿泊先ホテルへ移動し、ホテルで生徒達と別れた。 夕食会は市内のロール寿司で有名なレストランにおいて、高柳様ご夫人、堀川様ご主人及び宇都宮海星女子学院教頭の石塚千恵様を加えて行われた。ロール寿司だけではなく、栃木牛など留学生達が初めて口にする食材を使ったおいしい料理に会話が弾んだ。
 留学生達は「日光東照宮」について、杉並木に囲まれた境内は日常生活とはかけ離れた別次元の世界があり400年前とほぼ同じという不変の世界に独特な雰囲気を感じたという印象を持ったそうである。また、操縦資格を持つ堀川様が女性操縦者のみで日本から韓国へフライトした際に、スクランブル発進してきたと思われる韓国空軍機と遭遇した話に操縦者を目指している彼らは興味津々に聞き入っていた。留学生達は在日米軍基地や駐日武官として勤務したい等の留学生たちの夢や目標を語り、高柳令夫人より彼らが将来、米国と日本の懸け橋として活躍してくれることを願っている旨のお言葉を頂戴した。様々な話題に花が咲き、和やかな雰囲気のうちにお開きとなった。
 翌29日(日)は、宇都宮市郊外に所在する大谷石の産地にある「大谷石資料館」や「大谷地下採掘場跡」等を見学した。当初は人力で30メートルの深さまで石を削り、80kg以上もある石柱を背負子で背負って運び出していたとの由。戦時中は地下坑内が倉庫や軍需工場として使われ、“疾風”戦闘機のエンジンなどが生産されていた。地下坑内の広大さや当時の日本人の忍耐強さと素晴らしさに留学生たちも驚いていた。最近は、数々の有名な歌手等によるコンサートや映画撮影にも使用されており、坑内の一部はプロジェクションマッピングを使用した映像効果で神秘的な雰囲気を醸し出していた。
 その後「大谷寺」と「大谷観音」を見学し、道の駅で昼食を取った。
 午後は宇都宮市郊外の「若竹の杜」を訪問した。近年、広大な敷地に珍しい竹が整然と植林され、映画の撮影にも使用されたことから多くの観光客で賑わっていた。従前は栗の木を植樹し栗を栽培していたが、現在はタケノコを栽培するための真竹や孟宗竹が植樹されてきており、それら栗林、竹林を1時間にわたり散策した。散策の途中、竹林の中の休憩所で提供されたお抹茶に感動するとともにお抹茶が注がれていた竹の器を持ち帰っていた。一連の研修を終え、宇都宮駅で高柳令夫人、堀川様、佐藤教諭、生徒達による見送りを受けて帰路についた。
 東京駅に向かう新幹線の中で留学生達は「今回の研修は、日本の歴史・文化・伝統・わびさびに触れることができ貴重な体験ができました。アテンドの生徒達との多岐にわたる会話を通じ日本の高校生の考え方も理解でき、大変楽しく有意義でした。これから日米の架け橋となっていく責任や任務の大切さを考えさせられました。本研修を支援して頂いた皆様に心から感謝しています。」と語ってくれた。
 本研修を通じて3名の留学生が、日本と日本人に対する理解を一層深め、今後米空軍将校として活躍するとともに、日米の友好関係向上、同盟の強化に貢献してくれることを祈念したい。
 この日光研修はひとえに、長年にわたりJAAGA個人賛助会員である高柳 實様のご厚意によるものであり、事前調整から研修実施にあたっては、堀川様、佐藤教諭及び3名の宇都宮海星女子学院生徒の皆さんに多大のご支援をいただきました。改めてこの場を借り、心から感謝します。(岩本理事記)

 

 

米空軍士官学校交換留学生の日光研修(2019)