平成21年10月27日及び28日の両日、米空軍横田基地第5空軍情報・サイバー作戦部長ジム・プロット大佐、ユニー夫人、第5空軍憲兵隊司令官ランドル J・リカート大佐、アンドレア夫人、第5空軍マンパワー・パーソネル部長ドロシー L・ヴォート女史、並びに調整役兼ドライバーとして第5空軍情報部ニコラス・ストレイツ大尉、エリカ夫人の計7名からなる研修団が、日光・益子方面を研修した。本研修は、宇都宮市在住のJAAGA個人賛助会員である高柳實氏の全面的ご支援による第4回目となる研修であり、JAAGA側からは、高橋(財務)小川(企画)射場(企画)各理事が同行した。
 米軍マイクロバスで横田基地を出発した一行は、東北自動車道宇都宮ICにて高柳氏ご夫妻はじめ今回ご支援を頂く方々からの出迎えを受けた。危ぶまれた天候も、台風一過の素晴らしい日本晴れとなり、高柳昌喜氏(實氏の甥)と三浦日出夫氏(栃木県航空協会理事、防大4期)のご案内で日光へ。世界文化遺産の「神橋」研修の後昼食・休憩をはさみ待望の三仏堂、東照宮、二荒山神社の研修を開始した。陽明門、三猿、眠り猫、鳴龍などそれぞれの場所で荘厳さと華麗さ、そして歴史の奥深さを実地に見聞し感激のひとときを楽しんだ。特に、二荒山神社においては、「巫女の舞」鑑賞に引き続き、リカート大佐が研修団を代表して玉串奉てんを行い、全員で2礼・2拍手・1礼による日本神道の拝礼を体験した。その後、来日後わずか2カ月とは思えないストレイツ大尉の見事なハンドルさばきでいろは坂を上り、華厳の滝に感嘆の声を上げ初日の研修を終了、宇都宮市内の宿舎に到着した。夜は、高柳氏ご夫妻、本研修の綿密な企画をして頂いた、堀川典子様(高柳實氏ご息女)ご夫妻、高柳氏奥様のお兄様である大橋氏、高柳昌喜氏ご夫妻、三浦氏等の歓待で、寿司ダイニングを楽しみつつ、研修内容にとどまらず日米の文化等に関する話題を通じ大いに交流を深めた。
 翌28日も上天気に恵まれ、高柳ご夫妻ご同行の下、益子焼窯元と日本酒蔵元の研修を行った。まずは益子町の老舗窯元である関澤窯を訪ね、当主関澤武氏とご子息による直々の御指導で「絵付け」と「ろくろ」を体験、ユーモア溢れるアドバイスに米軍一行は大いに楽しみながら日本の伝統工芸に挑戦した。特に、アンドレア夫人は絵付けに繰り返し挑戦する程の興味の持ちようで、関澤氏の手ほどきで夫婦湯呑を作製、焼き上がりを心待ちにしている様子だった。また、関澤窯ミュージアムの見学、屋敷内にある酒樽を利用した茶室や数々の盆栽、上り窯の研修、そして自然との調和と美の世界を大事にした伝統的な日本家屋を十分に堪能した。次に、市内の外池酒造を研修、工場見学を通じ日本酒の醸造工程の説明を受けた。醸造樽を攪拌する際杜氏職人達が唄う民謡の実演に耳を傾け、時計のない時代に攪拌時間を計るストップウオッチの役目であったとの説明に、伝統と知恵の深さを感じたようであった。また、利き酒コーナーでは工程の違いによる異なる味わいの原酒などを試飲した。昼食は、お世話になった皆様やボランティアの通訳の方々にもご一緒いただき、稲刈りの終わった田んぼに囲まれたレストランにて、すき焼き、てんぷら、流しそうめんなど日本の食文化を満喫した。研修の終了に当たり、米側代表のプロット大佐から、「高柳氏はじめ沢山の方々の御配慮で日本文化などを体感する極めて充実した研修となったことは言うまでもなく、2日間を通じて「日本の皆様の温かなおもてなしの心」に触れる機会を得たことは最大の成果でした。」との謝辞があり、全員からの見送りを受け、横田基地に向け益子を後にした。
 本研修は、「母国を離れ日本防衛のために汗を流してくれている在日米軍軍人に対する感謝の気持ちを表すとともに、研修を通じて日本の原点を知ってもらいたい」との高柳氏の発意により実施されているものであるが、参加者全員の心の中に、自然と伝統の中で育まれる日本文化の原風景というものが深く刻まれたことを確信するとともに、高柳實氏そして堀川典子様の献身的ご尽力、更にはライス司令官の御理解に感謝を申し上げます。 (射場理事記)

 

平成21年度・米空軍人の日光研修