平成26年度の「JAAGA訪米団報告会」が2月17日(火)1320からグランドヒル市ヶ谷「芙蓉の間」においてJAAGA講演会に先立ち実施された。
 講演に先立ち外薗健一朗会長より「雪の可能性も予報されていた寒く冷たい天候の中、御参集頂いたことに感謝する」旨の挨拶がなされると共に、昨年実施されたJAAGA訪米団に係る印象として「ハワイの太平洋空軍司令部と空自の関係における緊密度の更なる深化」と「ワシントンDCにおける鈴木昭雄元空幕長と米国側JAAGA名誉会員間の心温まる旧交を叙する光景」について紹介がなされた。
 彌田清担当理事の司会進行により「石野次男理事によるJAAGA訪米団報告会」を正会員55名、法人会員25名、個人賛助会員4名、計84名が熱心に聴講した。

報告者 : 石野次男 理事    
内容   : 訪問成果 (太平洋空軍司令部、ビール空軍基地、バンデンバーグ
       空軍基地、ワシントンDC)

<訪問団の編成、旅程>
 本年度は、外薗健一朗JAAGA会長を団長に、永岩顧問、堀顧問、森下、渡邊、小野田、石野各理事の計7名のメンバーにより訪米団が編成された。
 ツアー概要として、9月7日、真珠湾・ヒッカム米軍統合基地からスタートし、米太平洋空軍司令部(ハワイ州ホノルル)、第9偵察航空団(カリフォルニア州ビール空軍基地)、統合宇宙コマンド/第14空軍(同州バンデンバーグ空軍基地)を訪問し、ワシントンDCにおいてJAAGA名誉会員及びゲストとの交流行事を行うとともに、統合参謀本部、空軍参謀本部、国際戦略研究所(CSIS)を訪問し、空軍協会主催の航空宇宙コンファレンスに参加したことを地図及び訪問先トピックで示し、順次、各訪問先における各種の写真と短節に要点をまとめたキーワードにより報告が行われた。
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<太平洋空軍司令部>
 太平洋空軍司令部でブリーフィングされた直面する各種の挑戦(自然災害、テロ・組織犯罪、麻薬・人身売買、領土・資源紛争、興隆するパワー、接近拒否/地域拒否(A2/AD)など)が紹介され、同軍はこうした挑戦に対して、地域諸国の防衛能力構築、統合防空及びミサイル防衛(IAMD)、戦力投射能力、軽快柔軟な指揮統制、強い兵士の育成を重視していることが報告された。

<ビール空軍基地>
 ISR(情報、監視、偵察)の中核基地としてのビール空軍基地の位置付け及び全世界をカバーする通信ネットワークによってグローバルホークが世界各地で運用され、アジアではグアム及び三沢基地が運用拠点であることが報告された。また、退役が予定されているU-2の着陸を目前で見る機会を得て、追跡する車の余席に座って200km/h近い速度でU-2を追う状況が語られた。

<バンデンバーグ空軍基地>
 宇宙ロケットの発射や弾道ミサイル試験など米軍の宇宙戦力の拠点であるバンデンバーグ空軍基地が宇宙空間の監視把握により、1,300基の衛星を含む23,000個以上の物体に対処している状況が報告された。統合宇宙コマンド兼ねて第14空軍司令官は、元第5空軍副司令官のジョン・レイモンド中将(Lt. Gen. John Raymond) であり、宇宙における優位を維持するには同盟国との協力関係を密にして資源の有効活用を図る必要性があるとして、日本との協力強化に大きな期待を寄せていると語ったことが紹介された。

<ワシントンDC>
 JAAGA名誉会員とも再会を果たし、エバハート元大将邸でのカクテルパーティーの席では佐々江賢一郎駐米大使が「航空自衛隊幹部と米空軍幹部が長期に亘り、かくも親密に交流を重ねていることに驚きとともに感謝の念を禁じえない。こうした交流が両国の信頼関係を益々緊密なものにすることを確信する」とのスピーチを頂いたことが紹介された。併せて、鈴木昭雄元空幕長にご訪米頂き、鈴木空幕長ご在任当時の第5空軍司令官のデービス元大将にもご出席頂いて華やかなディナーとなったことが語られた。
 ワシントンでは、統合参謀本部計画部長(J5)、空軍参謀本部情報副部長(A2)、運用計画部長(A3/A5)、戦略部長(A8)を表敬し、台湾、南シナ海、日中の領土・資源をめぐる係争の3点がアジアにおける米国の焦点であり、米国の軍事プレゼンスを維持するためには拠点となる日本、特に南西諸島が不可欠との共通認識が示されたことが報告された。
 航空宇宙コンファレンスにおいては、米空軍首脳陣から「空軍の中心的任務は、航空宇宙優勢、ISR、グローバルな機動、グローバルな打撃、指揮統制であり、次なるステップは、必須の3大プログラム(F-35、KC-46、次期長距離爆撃機)を維持し、核兵器の近代化計画を策定し、シミュレータをネットワーク化する等の効率化を進め、インフラを強化することである」旨の講演がなされたことが報告された。
 30分という限られた時間の中で、訪米団の報告としてキーポイントを押さえた的確な 内容が語られ、大変密度の濃い報告会となった。石野理事の報告所要時間は元戦闘機の操縦者らしくTOT±0で報告をまとめ上げ定刻通りに終了した。 (杉山理事記)

 

平成26年度「つばさ会・JAAGA訪米団」報告会