「つばさ会・JAAGA」を代表して、日米両空軍の友好親善の推進を図る平成23年度の訪米団は、吉田正JAAGA副会長を団長とする4名で、9月11日から23日までの間、ワシントンで開催されるAFA(米空軍協会)年次総会への参加に併せてハワイ所在の太平洋軍、太平洋空軍、太平洋海軍、13空軍司令部、ネバダ所在のネリス、クリーチ空軍基地及びワシントンDC所在の国防総省を訪問しました。
 日米両国間には、普天間基地問題を始め懸案が山積しているものの、本訪問間、多くの現役高官の方々や退役された元在日米軍司令官等の在日米軍基地勤務経験者の方々との交流を通じ、日米空軍相互間の絆の強さを再確認すると共に、米空軍の現状と将来に亘る動向を把握することができました。
 本訪問を通じて、それぞれの訪問先での訪問の狙いや印象に残った事項について簡単に紹介したいと思います。
 ハワイでは、米軍の新戦略「Joint Air-Sea Battle Concept(以後JASBCと略)」の方向性を確認すると共に、東日本大震災での友達作戦を通じた協力への感謝の意を伝えることを主眼に、太平洋軍を始めとする各司令部を訪問しました。特に太平洋艦隊司令部をJAAGA訪問団として初めて訪問し、ニミッツ記念ホールを見学すると共に、ウォルシュ太平洋艦隊司令官とは充実した意見交換ができました。またノース太平洋空軍司令官との懇談では、JASBCの今後の趨勢と航空総隊の横田移転後の戦力運用の動向について意見交換すると共に、予算の削減に関連して、来年には13空軍が解隊されることが明らかにされました。
 ネリス基地では、コープノース・アラスカやグアムでの日米共同演習に関連して、レッドフラッグ演習等の将来動向を把握することを主眼に、ネリス基地所在部隊を研修しましたが、これまでのレッドフラッグ演習だけではなく、宇宙(スペースフラッグ演習)、サイバー(サイバーフラッグ演習)への備えを重視していることが確認できました。
 クリーチ基地では、無人航空機プレデターの運用、教育訓練の状況を確認することを主眼に研修を行いましたが、クリーチ基地を拠点に、通信衛星や海底通信ケーブルを活用して、全世界でプレデターを運用し、多大な成果を上げつつ、同時に教育訓練にも取り組んでいることを確認しました。私達もシミュレーター訓練を体験できましたが、主翼の形状や長距離通信によるタイムラグ等により、操縦が難しいとの印象を受けました。
  次にAFA総会ですが、今年も3日間約6000人が参加して開催され、幅広いテーマで活発な意見交換が行われていました。特にシュワルツ空軍参謀総長の講話では、予算の削減に当たっても団結と士気を維持しつつ世界の平和と安定に貢献していこうとの力強い言葉が印象に残りました。また広大な展示ホールでは、最新の航空宇宙関連技術が展示され、航空宇宙戦力の将来動向を垣間見ることができました。特にF−35とKC−46(KC−767の米軍名称)の展示が印象に残りました。
 国防総省の訪問では、統合参謀本部や空軍司令部の主要な幹部と意見交換をしましたが、在日米軍基地勤務経験者が主要ポストを占めており、在日勤務時の思い出話で雰囲気が和んだこともあり、充実した意見交換ができました。今回の松島基地のF−2被害に伴うパイロット教育の米国受け入れに当たっては、米教育空軍司令官ライス大将(元在日米軍司令官)の存在ばかりでなく、空軍司令部の主要なポストに在日米軍基地勤務経験者が就いていることが背景にあることが確認できました。
 また懇談の席では、日米同盟の重要性や航空自衛隊との間での連携が非常にスムーズにいっていることを強調する発言が相次ぎました。特に異口同音に「日米間の軍人同士の信頼関係は特に強くて良好である。」と言われ、OB、現役を問わず、人のつながりが日米安全保障条約の下での大きな財産になっていることを実感しました。
 終わりに、今次訪米に際して、各方面で協力、支援していただいた関係各位に心より感謝申し上げます。(藤井理事記)


平成23年度「つばさ会・JAAGA訪米団」報告