石油の高騰や経済の衰退でやや控えめになったとは言え、米国民にとって「フォース・オブ・ジュライ」はやはり特別の日のようで、今年も全国各地で賑やかにそして誇らしげにアメリカ生誕の記念祭が催されていました。 それにしても、ここでは国を愛するという気持ちがこだわりも無く素直に表現されておりとても羨ましい限りです。 それもこれも米国生誕の歴史的な背景はもとより米国民の長年に亘る努力の蓄積による所が大きいのでしょう。この連休で、例年、約1億5千万本ほどのホットドッグが消費され、約200億円ほどの花火が打ち上げられるとか。全国各地で歴史色豊かなパレード、演奏会等々が催され、星条旗が舞い、メディアも関連のニュース一色でした。(因みに、花火、星条旗の約95%は中国からの輸入とか。)
USSコンスティチューション
ボストンのローカルニュースに「ディック・チェイニー副大統領、7月4日早朝ボストンを訪問」と流れました。
訪問の目的はボストンのチャールズタウン海軍基地の1号桟橋に係留されている「USSコンスティチューション」船上で執り行なわれた米海軍軍人再入隊宣誓式への参加のためであったとのことです。 「オールド・アイアンサイズ:Old Ironsides」こと「USSコンスティチューション」は、1812年戦争(英米戦争)等戦役で活躍したアメリカ海軍最古の誇り高き現役帆船です。
イラク戦争で苦しむ中、志願制度を継続する米軍にとって軍人の再入隊は極めて貴重で有り難いことであり、独立記念日のこの日に「USSコンスティチューション」船上で再入隊宣誓式を執行することはとても意義深いものであったろうと思います。 なお、バクダッドのキャンプ・ビクトリーにおいても1200人を超える軍人の再入隊宣誓式が挙行されたようです。
副大統領訪問の二つ目の目的は、ボストン在住移民の米国帰化宣誓式に出席すること。
「USSコンスティチューション」泊地傍で執り行なわれた宣誓式で今回帰化が許可されたのは20カ国26名の移民で、レバノン、サウジアラビア、イスラエル、インド、ニュージーランド、南アフリカ、スイス等世界各地からの帰化とのことでした。 独立記念日のこの日、全国で約2500人の移民の帰化が許可されたとのことです。
ちょっと古い記録ですが、2004年の統計記録によると、2004年一年間の米国帰化者は約537,000人。 元国籍内訳は、メキシコが最大で63,800人、以下、インド38,000人、フィリピン31,400人、ベトナム27,500人、中国27,300人と続きます。 また、同年、946,000人の移民に合法的な米国永住権が許可されています。 これらの統計を見るに、ほぼ全国民が移民の子孫である米国という国は、現在も移民に対して寛大であり、また、移民にとっても居心地のいい国であることがわかります。
移民問題には色々課題があり大変ですが、移民は米国にとっての「強かなソフトパワー」であり、活力の糧となっています。米国は今後も多数の移民を受け入れ続けていくのでしょう。 独立記念日の日に改めて建国の志を確認するということが大事にされている所以です。 因みに、2004年度の日本への帰化希望者数は年間16,790人であり、帰化が許可されたのはそのうち16,336人でした。」
(ボストン在住、永岩会員記)