1. 全般
 3月13日及び14日の2日間、JAAGA会員による米空軍嘉手納基地及び航空自衛隊那覇基地の研修を実施し、任務及び主要装備品等についての理解を深めるとともに、日米指揮官等との懇談等を通じて日米安全保障体制の重要性を再認識し、友好親善を図った。
 研修団には、団長として小野田治氏(正会員)、副団長として山崎剛美氏(正会員)及び坂本義光氏(個人賛助会員)を迎え、以下、研修員として正会員9名、賛助会員20名(法人10名、団体2名、個人8名)及び随行理事として5名(企画 平本、渉外 吉田、会員 伊藤、財務 吉川、広報 福永)が参加した。また、丸野JAAGA沖縄支部長が現地で研修に合流した。
 本研修の計画にあたり日米の関係部隊から誠意あふれる受入及びその他の支援をいただき、多くの成果を得て日米相互の理解と信頼の絆をより強くすることができた。
2. 研修第1日目
【入間基地集合・結団式】
 研修団は、入間基地に集合し、結団式を行った。団長及び副団長からそれぞれ研修に行くにあたっての抱負、方針、心構え等を含め挨拶をいただき、引き続いて参加者全員の自己紹介が行われた。これから2日間の研修に向けて、和やかな中にも気持ちを引き締めることができた。
【C-1輸送機に搭乗、築城基地経由、那覇基地へ】
 高気圧に覆われ晴れわたる空のもと、航空自衛隊のC-1輸送機に搭乗し入間基地から築城基地を経由して那覇基地へ向かった。出発地の入間基地では、中部航空方面隊司令官 金古真一空将、中部航空警戒管制団副司令 井上剛1等空佐及び第2輸送航空隊司令 高橋和久1等空佐の出迎え・見送りを受け、出発までの間、団長及び副団長と懇談の場が設けられた。同様に中継地の築城基地においては、築城基地司令 佐藤信知空将補、飛行群司令 大西健介1等空佐、整備補給群司令 五十川淳1等空佐、監理部長 山崎一郎2等空佐と懇談の場が設けられ、それぞれ団長からはJAAGAの研修への支援に感謝が伝えられるとともに、部隊の状況や研修地沖縄の話題に話が弾んだ。
 那覇基地への飛行は気流も安定していて順調であった。飛行中、操縦席の見学など、C-1輸送機搭乗を十二分に体験させていただいた。
【那覇基地歓迎昼食会・南西航空方面隊司令官講話】
 那覇基地にほぼ予定通り着陸すると南西航空方面隊司令官 上ノ谷寛空将はじめ、航空自衛隊那覇基地主要幹部の皆様の歓迎を受け、基地食堂で沖縄料理「アーサーそば」と「じゅうしぃ(炊き込みご飯)」をいただき、沖縄の空気をたっぷり感じながら会食を楽しんだ。
 昼食のあとは場所を司令部庁舎に移し、第9航空団司令兼那覇基地司令 稲月秀正 空将補も同席されて、上ノ谷 南西空司令官の講話が実施された。「めんそーれ 南西空へ」と題して、南西防衛区域の特性、沖縄県の情勢、周辺諸国の活動活発化の状況及び司令官自らが2回目の勤務で感じられたことなど、幅広い視点から貴重なお話をいただき、最前線の緊張感の中で頑張る隊員たちの活躍を知ることができた。
 司令官講話の後、司令部庁舎中央ロビー内で上ノ谷司令官、稲月基地司令とともに記念撮影が行われた。
【米空軍第18航空団概況説明】
 航空自衛隊のバスに乗車して那覇基地を後にし、国道58号線を一路、嘉手納基地に向かった。嘉手納基地のゲートを無事通過し、第18戦闘航空団司令部庁舎に到着すると第18戦闘航空団司令官 ケース・カニングハム准将(Brig Gen Case A. Cunningham, 18WG/CC)直々にお出迎えいただいた。司令部内の会議室に案内され、カニングハム司令官から歓迎のあいさつに続いて、第18航空団副司令官、リチャード・タナー大佐(Col Richard C. Tanner, 18WG/VC)から概況説明をいただいた。インド−太平洋地域には米国の同盟国の61%が存在し、中でも日本は最も大切な同盟国であること、在日米軍の70%が沖縄に存在し沖縄における基地の占有率は大きく、また、嘉手納基地には、約18,000人の米軍人・軍属と約4,000人の日本人従業員等が「チーム・カデナ」として勤務し、日本の多大な支援に感謝していることなどの説明を受けた。嘉手納基地が地域の「よき隣人」であることの重要性を認識し、地元との関係を重視していることがよくわかった。Q&Aセッションでは小野田団長をはじめ、会員から活発な質疑があり、とても有意義な機会となった。
 概況説明の後、展示航空機エリアのF-15戦闘機の前で集合写真を撮影し、嘉手納基地を一望できるクラブハウスで夕食会までの間、お茶や買い物など少しゆっくり過ごした。
【JAAGA主催懇親会】
 第1日目の夕刻、嘉手納基地クラブにおいてカニングハム 第18航空団司令官以下、主要幹部等及び 稲月 那覇基地司令以下、主要幹部等を招待しJAAGA主催レセプションを開催した。
 カクテル・タイムで軽いウォーム・アップ、気持ちも体もリラックスした頃、第18航空団司令官付将校 ブラントン・クルーパ大尉(Capt Brandon Krupa, 18th Wing Executive Officer)※とJAAGA吉田浩介理事の息の合った日米両司会によりレセプションが進められた。(※クルーパ大尉は、平成28年度日米優秀隊員表彰JAAGA AWARD 2016を受賞していて日本語も堪能。)
 はじめに、カニングハム准将はじめ嘉手納基地からの招待者8名と稲月空将補はじめ那覇基地からの招待者6名が紹介された。盛大な拍手で招待者を歓迎し、続いてJAAGAの概要と活動について簡単な紹介の後に、JAAGA研修団の小野田 治団長、山崎 剛美副団長、坂本 義光副団長及び丸野 礼治沖縄支部長の紹介が行われた。
 小野田団長が主催者として厳しい北朝鮮情勢などを背景とした即応態勢維持の中で本研修を受け入れていただいたことや日頃のJAAGA活動への理解と協力に感謝の言葉を伝え、次に、カニングハム司令官から歓迎の意と日米の絆の重要性、JAAGAの活動への感謝の言葉をいただいた。
 食事の用意が整い和やかな雰囲気のもとビュッフェ・スタイルのディナーが始まり、各テーブルとも終始、和やかに、賑やかに会話と食事が進んでいった。お腹も会話も一息ついた頃、スペシャルゲストとして「ファイヤーバード・ドラマーズ」が登場し、エイサー太鼓演奏の素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。このグループは、基地内の小・中学生で構成され、沖縄の芸能文化の一つであるエイサーを通して地元の文化に親しんでいる。沖縄国際カーニバル、嘉手納スペシャルオリンピックス、沖縄マラソンなどのイベントでも演舞を披露し、基地内外で広く人気を博しているとのことであった。
 エイサー太鼓演奏の素晴らしいパフォーマンスにレセプションも最高潮に達したところで、小野田研修団長から締めの挨拶を行い、日米空軍種間の緊密な協力関係が更に深化していくことを確信して、成功裏にレセプションを終了した。

3. 研修第2日目
【嘉手納基地研修】
 米空軍第18航空団の計画により飛行場及び航空機見学(F-35A, F-15C, HH-60G, KC-135)が実施された。大型バスによる飛行場ツアーで広大な敷地を巡り、2本の滑走路を使用してたくさんの種類の作戦機が頻繁に離着陸を行う様子を見学し、最前線基地の張りつめた緊張感を感じた。
 KC-135 空中給油機の見学においては、広い駐機エリアに所狭しと並ぶ機体に圧倒された。また、KC-135は、エンジンを換装し能力向上され1955年製の機体がまだ現役であり、平均使用年数は55年という説明に感心させられた。今回の研修の目玉の一つは最新鋭の戦闘機F-35A、昨年11月から6か月の予定でユタ州ヒル空軍基地第34戦闘飛行隊から12機、約300名が展開してきているもので、アジア太平洋地域で初めて作戦展開しているとのことであった。間近に見るF-35Aは、新しい世代にふさわしい風貌で、空の戦いを変えるといわれる頼もしさが感じられた。そのほか、F-15C戦闘機及びHH-60G救難ヘリコプターを見学し、それぞれの部隊のクルーからとても丁寧な説明を受けた。研修の間、終始同行していただいたカニングハム司令官及び18航空団のスタッフの皆様に見送られて短時間ながら充実した研修を終え嘉手納基地を後にした。
【第9航空団F-15J見学】
 航空自衛隊那覇基地へ戻り隊員食堂で昼食(体験喫食)をいただき、研修の締めくくりは第9航空団のF-15J見学。第9航空団飛行群司令 高石景太郎1等空佐からF-15Jの機体説明、コックピットへの搭乗及びHMD(Helmet Mounted Display)、対Gスーツや救命装具をフルに身につけたパイロットの説明があり、航空自衛隊の第1線の人と装備に触れ、肌で現場の緊張感を感じながら研修を終えた。
【解団式】
 すべての研修メニューを終了しC-1輸送機にて空路、入間基地に戻り空輸ターミナルにおいて解団式を行った。小野田団長、山崎団長から、「ホスト部隊も含め、本ツアーが日米の関係構築に寄与できた。米空軍の現場を垣間見ることができ個人的にもとても勉強になった。空自、米軍及び地域が一体となって取り組んでいる実態とその絆の強さを感じることができた。参加者それぞれがこの成果を持ち帰って生かしてほしい。」、坂本副団長から「とても素晴らしいツアー、F-35戦闘機を見ることができて一生の思い出になった。」等の所見、及び研修の準備及び実行にあたり多大なるご支援をいただいた日米受け入れ部隊及び支援部隊関係者並びに参加者のお力添えと協力に謝辞が延べられた。
 なお、正会員松田幹生氏から所見を寄稿して頂きました。研修時のスナップ写真は別添の通りです。 研修の雰囲気を感じ取っていただけると思います。(福永理事 記)


平成29年度JAAGA会員嘉手納基地等研修