平成27年2月24日(火)、25日(水)の2日間、JAAGA会員の三沢基地研修が行われた。研修団は、山下守氏を団長、大野富美男氏を副団長とする賛助会員22名(法人12名、個人10名)及びJAAGA理事5名(平田、宮脇、阿部、石野(貢)、木村(和))の総勢27名で結成され、山本三沢支部事務局長も現地で研修支援にあたった。
 三沢基地は初日午後に強風ウォーニングが発令されたが期間中よく晴れ渡り、積雪も日陰や芝地にまばらに残っている程度で、研修に適した日和となった。研修団員は、結果的に5分前の精神で行動する等時間厳守が徹底し、講話や見学の場では熱心にメモを取り質問し、懇親会では幅広く交流し、大いに研修の成果を上げることが出来た。島根県、石川県、現地三沢からの参加者もおり、JAAGAの会員であることを誇りに思うとの声も聞かれた。日米三沢基地は、万全の態勢で研修団を受け入れてくれた。両基地では三沢市との連携が強調され、三沢市長の方針「共存共栄」の通り、基地と地元が極めて良好な関係にあることが様々な場面で滲み出ていた。日米の指揮官からは、JAAGAによる隊員表彰(注:三沢基地における表彰を前週20日(金)に実施)への感謝と今後の継続希望が表明された。本研修を成功裏に終えられたことは、研修団員個々の自覚の高さもさることながら、準備段階からの三沢・入間基地の航空自衛隊部隊等、米空軍三沢基地、航空支援集団、及び航空幕僚監部の多大なる尽力とJAAGAに対する厚い信頼の賜であり、改めて関係隊員諸氏に感謝申し上げる。

【 1日目(2月24日(火))】
 08:35入間基地稲荷山門に集合完了、空幕総務課員から北空作成のコンパクトな日程等資料を受領後、入間基地車両で空輸ターミナルに移動し、結団式を行い、本研修をスタートした。中部航空方面隊司令官平本正法空将、中部航空警戒管制団司令兼入間基地司令山本祐一空将補には、多忙な中、懇談、見送りを頂けた。

10:00 入間基地発  11:10 三沢基地着
 空自C-1は定刻通り運航されたが、三沢への着陸進入時に揺れが続き、体験搭乗は人によっては強烈な思い出となった。三沢基地到着後、山下団長、大野副団長、平田理事、木村理事(注:以後の表敬も同じメンバー)が第3航空団司令兼三沢基地司令井上浩秀空将補を表敬し、他の団員は厚生センターで買い物や休憩をした。11:55から幹部食堂において、北部航空方面隊司令官尾上定正空将、同副司令官増子豊空将補、井上基地司令の参加を得て体験喫食が行われた。予算事情厳しき中、部隊の努力により実現した念願の部隊食を頬張り、身体の中から自衛隊を感じ取ることが出来た。満腹になったところで井上基地司令から「良い天気をJAAGAが連れてきてくれた。現場の隊員を見てほしい」との挨拶があり、続いて山下団長から「東日本大震災を経て国民は、自衛隊を日本の誇りと見ている。日米の連携、共同についてしっかり研修したい」と抱負が述べられた。

12:45 空自三沢基地研修
 予定を15分早めて、盛りだくさんの研修が始まった。概況説明は、新庁舎内の基地講堂において、三沢基地の概要、基地所在部隊と任務、在三沢米軍の状況、地元・米軍との交流・協力の順に、3空団監理部長石川雅章2等空佐がスライドを使って説明し、質問には主として井上基地司令が対応された。終了後も暫く賛助会員と理事の間で熱心に意見交換が行われた。13:15から格納庫に移動し、航空機、装備品を見学した。早期警戒機E-2Cについては、警戒航空隊飛行警戒監視群司令菅原謙一1等空佐から三沢と那覇を拠点とした任務の説明を受けた後、同飛行主任から機体について、機上兵器管制官からシステムについての説明があった。操縦も管制も難しい機体であり、「パイロット、コントローラー冥利に尽きる」との端的な言葉に運用者の誇りを感じた。13:50から3空団エリアに場所を移し、戦闘機F-2、エンジン、各種弾薬類、そして1週間前に配備されたばかりの新型破壊機救難消防車を2個グループに分かれて見学した。見学中にはF-2が相次いで離陸する轟音が響き、臨場感が盛り上がった。格納庫では3空団飛行群司令、同整備補給群司令、同基地業務群司令の他、担当部隊の隊長、小隊長、隊員が直接説明、質疑応答にあたり、部隊側の手厚い対応によって、団員の理解はより深まった。

15:35 北空司令官講話
 15:15から代表者が尾上北空司令官を表敬した後、基地講堂において司令官講話が実施された。冒頭、JAAGAによる隊員表彰への謝辞が述べられ、引き続き3時間を要する内容を30分に圧縮し、我が国を取りまく安全保障環境(地理的環境、周辺国の状況、対領空侵犯措置の状況)及び三沢における日米同盟の現状、取組み(日米同盟の全体像、三沢基地における米グローバル・ホークの運用、日米共同訓練、F-35A導入計画)についての精力的な講話、質疑応答が行われた。6,300名の隊員からなる北空の視察もあと4個分屯基地で一巡する旨、嬉しそうに語られた。

18:30 JAAGA主催夕食会(18:00ウェルカム・ドリンク)
 16:15から代表者が第35戦闘航空団司令兼米空軍三沢基地司令サンドバル大佐(Col.Timothy J. Sundvall)を表敬し、他の会員は米軍宿舎「三沢イン」にチェックインした。なお、表敬者4名のチェックインは米軍側で代行の便宜を図ってくれた。基地内の将校クラブにおけるJAAGA主催夕食会は、招待者として空自から尾上北空司令官、増子同副司令官、井上基地司令、牧野三沢病院長が、米空軍第35戦闘航空団からはサンドバル団司令以下各群司令等6名が参加した。当初の30分間は片手にグラスを持ち適宜移動しながら、会員と招待者が日米入り交じってにこやかに懇談していた。会場が和んだところで宮脇理事の進行により、まず、ホスト側代表として山下団長から、研修受け入れへの感謝と東日本大震災時の支援に対する米軍への感謝、JAAGA会員として日米同盟の深化のため空自・米空軍を支援していく、旨の挨拶が述べられ、続いてゲスト側代表として尾上北空司令官の挨拶、サンドバル団司令の乾杯で、会食が始まった。4つのテーブルそれぞれで会話が弾み、各テーブルでの話の中身は様々であろうが、米軍のある指揮官が、近い将来退役した後は三沢に定住すると熱心に語っていたのが、三沢における空自、米軍及び三沢市の良好な関係を如実に表しているものとして、印象的であった。笑顔と明るい声の中、あっという間に1時間半が過ぎ、ゲストである井上基地司令の納杯の音頭で閉会となった。名残惜しくはあったがバスの都合があり、宿舎に戻った。団員の半数近くはその後市内に繰り出し、半数は宿舎で寛ぎ、一部は50m近く離れた屋外喫煙所で寒空の中思いに耽り、1日目が終了した。

【2日目(2月25日(水))】
 07:35、三沢インのロビーに集合し、米軍のバスで将校クラブへ行き、バイキング形式での朝食をとった。改めて室内を眺めると、歴代米軍団司令の顔写真や陳列された記念品に加えて、三沢市長の写真が壁に掲げてあった。

09:00 米軍第35戦闘航空団司令講話
 講話会場には「I am an American Airman」のスローガンとともに日米国旗と部隊旗が設置され、デジタル時計は日本、グリニッジ標準時、ワシントン、ハワイの時を刻んでいた。サンドバル団司令は飛行服姿で、前方、左側方、後方に座る会員に適宜体を向けながら、郷里、軍歴、勤務地、家族、任務等について、約50分間にわたりリラックスした雰囲気で話し質問に応じられた。家系のルーツはスウェーデンであること、養子を含めた6人の子供全員が三沢に一緒にいること、20年近く前の新婚時代に三沢で長男が生まれたこと、当時と同じ日本人の床屋に現在も世話になっていること等々、人間味溢れる話しぶりであった。そんな中、指揮官としての方針は、任務、兵士、家族であり、あくまでも任務第一であることが強調された。また、一つのチーム・コミュニティーとして三沢市とは大変良い関係にあること、JAAGAの隊員表彰に大変感謝していることが表明された。なお、計画にはなかったが即決で、サンドバル団司令は昼食までずっと研修団に同行してくださった。

10:00 F-16、装備品、エンジン整備施設等研修
 3個グループに分かれて戦闘機F-16、パイロット装具、各種弾薬類を見学した。広大な格納庫でまず目についたのは、壁面に掲揚された大きな日の丸と星条旗である。JAAGA研修団のためではなく、日頃から掲げてあることを知り嬉しく感じた。パイロット装具は試着でき、写真撮影も一部を除き許可される等、研修団に最大限の配慮をしてくれた。引き続きバスで滑走路北側地区に移動し、11:00からエンジン・テストスタンドとエンジン・ショップを見学した。テストスタンド内ではアフターバーナー全開の実展示にはらわたを揺さぶられ、ショップでは下士官の熱心な説明に心を揺さぶられた。その後、ゴルフ場プロショップに立ち寄り、買い物や小川原湖の眺望を楽しんだ後、再び滑走路南側地区に戻り、12:15から将校クラブで食事をとった。三沢基地最後の食事は巨大なハンバーガーであったが、殆どの団員が完食していた。サンドバル団司令が一人一人を回って言葉をかけ、握手した後に颯爽と退室された姿が印象的であった。

14:00 三沢基地発 15:10 入間基地着
 帰路は往路と一転、揺れもなく快適なフライトで、安心して居眠りをする団員の姿が多く見られた。出発時と同様に、平本中空司令官、山本入間基地司令の出迎え、同席を得て、解団式において山下団長から「良い研修が出来た。計画作りも大変だが、時間通りに実行するのも大変だ。官側(空自、米軍)の皆さんとJAAGA理事に感謝する」との言葉があり、全員の拍手をもって本研修は全日程を終了した。稲荷山門で解散し、各自充実感とともに帰路についた。 (木村(和)理事記)

 

平成26年度 JAAGA賛助会員の三沢基地研修