平成26年3月4日(火)から5日(水)の2日間、JAAGA会員による那覇、嘉手納基地研修が行われた。当研修は各年度ごとに三沢基地と交互に行われているもので、今回は、団長柴田幹雄氏(元陸将)、副団長酒井祐二氏をはじめ、法人・賛助会員27名、JAAGA から森下、新井、松田、山崎、渡部理事の5名、総勢32名の研修団となった。
 現地到着から出発まで実質丸一日の短い研修日程、あいにくの天候不良等、環境条件は必ずしも十分ではなかったにもかかわらず、嘉手納基地渉外部長の普久原尚子氏曰く「これまでで最も盛りだくさん」の研修内容であり、内容の詰まった極めて意義深い研修であった。紙面を借りて、日米の受け入れ部隊の指揮官の皆様と現場で説明、アテンド等をして頂いた担当の皆様に感謝したい。

【行動概要】
1日目(3月4日(火))

 入間基地ベース・オペレーションにて団結式を行い、空自のC-1 にて那覇基地へ移動した。

09:00入間基地発 12:10 那覇基地着
 雨交じりの強風の中、南西航空混成団司令杉山良行空将の出迎えを受けた後、柴田団長、酒井副団長及び森下理事の杉山団司令への表敬が行われた。団司令から歓迎とJAAGA活動への感謝の言葉があり、団長からは研修受け入れに対する謝辞の発言があった。また、団長自らが描いた絵のカレンダーが団司令へプレゼントされた。 挨拶の後、隊員食堂において那覇基地主要幹部との会食が行われた。あいにく直轄部隊指揮官が不在であったため、南混団司令、直轄部隊副司令及び南混団司令部各部長等との会食となった。会食に先立ち、杉山団司令から歓迎の挨拶があり、和やかな雰囲気の中で会食は進行した。

13:15 南混団及び那覇基地概況説明
 南混団幕僚長堀田隆治1空佐、第83航空隊副司令横山寛1空佐及び南混団司令部総務部長石村尚久1空佐から、約1時間半に及ぶブリーフィングを受けた。ブリーフィング内容は南西防衛区域の特質、地元との連携、那覇基地の置かれた状況及び沖縄の通史などであり、とりわけ石村1佐の、約6千年前まで遡った琉球王国の誕生までの時代と王国の繁栄、薩摩藩の琉球支配、沖縄県の誕生、沖縄戦、戦後の米軍統治、復帰後の沖縄という、沖縄を舞台とした6千年の歴史説明に、研修団全員が熱心に耳を傾けた。また、横山1佐の三線(サンシン)の優雅な演奏という「余興」もあり、印象に残るブリーフィングであった。

14:35 那覇基地発 15:50嘉手納基地着
 当初は移動中に砲台跡等の研修が計画されていたが、雨のため中止となった。 到着と同時に米空軍第18航空団司令兼嘉手納基地司令Brig. Gen. Jemes B.Heckerの直接の歓迎出迎えを受けた。Hecker司令の日本勤務は今回で3度目で、前回は東日本大震災の際、在日米軍司令部J-3の運用部長としてトモダチ作戦の作戦調整の責任を担ったそうである。また、F-15C/D、F-22及びMQ-1(遠隔操縦航空機)の操縦士で、飛行時間は3,200時間以上との事である。 司令部の会議室でHecker司令自らによるコマンド・ブリーフィングが実施された。ブリーフィング内容は、嘉手納基地の極東におけるロケーション、第18航空団の任務と編制、基地に所属する支援部隊の概要、配備航空機についての説明であり、トモダチ作戦においてはHH-60Gを配備する第33救難SQが活躍したとのことである。 ブリーフィング後、Hecker司令に対し御礼の記念品贈呈が行われた。

18:15懇親会(17:45-18:15カクテル・タイム)  
 嘉手納基地のオフィサーズ・クラブにおいて、米空軍第18航空団の各指揮官を招待し、懇親会が行われた。JAAGA 沖縄支部の石津支部長と名富事務局長も忙しい中駆けつけてくれた。懇親会前のカクテル・タイムにはHecker司令も参加し、会員と楽しく懇談していた。 懇親会は新井理事と第18航空団プロトコール・チーフのCapt.Joshua Caraganの司会により開始された。最初に柴田団長から、研修団受け入れの謝辞と世界最強のエア・フォースのブリーフィングを受けることができ感激した事、そして「トム・クルーズ主演のトップ・ガンは残念ながら海軍です。今度は是非第18航空団所属のF-22のパイロットが東シナ海で不法航空機を追い回す映画を期待してます。最も、その場合はJAAGA主催の嘉手納基地研修は女性ばかり参加して大変ですが・・・」(一同笑)と締めくくった。Hecker司令はこれに対し、「第18航空団のトム・クルーズはそこに座ってる作戦群司令のCol.Peter J.Milohnicです」(一同笑)と述べた後、歓迎の言葉とともに「大切なのは同盟と航空優勢。そしてそれらによる抑止です」と挨拶した。 余興として、三線の名手、松田榮進氏と山内輝雄氏による「十九の春」、他3曲の弾き語りが披露された。お二人はコンクールで優勝するほどの腕前で、普段は地域の公民館等で教えていらっしゃるとの事。独特の物悲しいメロディーと音色に一同酔いしれつつ懇親会は終了を迎えた。 最後に森下理事からJAAGAの活動の紹介と「お・も・て・な・し」への御礼の挨拶があり、閉会となった。

20:15団結会
 場所をラウンジに移して研修団の団結を深めた後に、嘉手納基地内の施設に宿泊した。

2日目(3月5日(水))

08:00 嘉手納基地研修
 朝食終了後、Hecker司令自らがJAAGA 研修者と同じバスに乗りこみ、基地内の各部隊への案内を買って出ていただいた。研修は基地所在部隊であるRC-135を運用する第390情報SQからスタートした。ここでは松田理事の旧知の仲という隊長のLt.Col.Kouji Gillisから部隊の任務等のブリーフィングを流暢な日本語で受けたが、嘉手納基地渉外部の方々も第390情報SQのブリーフィングを聞くのは初めてという貴重な内容だった。飛行場地区では、F-15C、F-22、KC-135、HH-60Gの説明をパイロットや整備員、救難員、救護員たちから受けた。特にF-22を目の前にした「F-22には制空権(Air Control)がある」という説明と、KC-135が本国への患者空輸のためにローテーションしつつ常駐しているという説明は印象的であった。また各航空機ごとに集合写真撮影があり、研修の大なる記念となった。 最後に、那覇基地からの迎えのバスに乗り込む際にHecker司令からひとりひとりに記念写真が手渡され、嘉手納基地の研修を終えた。

10:45 嘉手納基地到発

11:30那覇基地着
 隊員食堂における体験喫食の後、柴田団長から「米軍部隊の長が自らがフル・アテンドをしてもらえるという事は極めて稀です」と計画に当たったJAAGA理事に対する感謝の言葉があった。その後、204SQのF-15Jの離陸状況見学した後、空自のC-1 にて那覇基地を後にした。

13:00 那覇基地発 

15:30入間基地着   
 入間基地の天候不良による小牧基地への行き先変更が案じられたが、C-1は軽やかな着陸操作で風雨の入間基地に到着した。第2輸送航空隊司令からの傘の配慮に感謝しつつ、ベース・オペレーションにて再会を祈念して解散となった。(渡部理事記)
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平成25年度 JAAGA会員の那覇・嘉手納研修