平成15年4月以来、JAAGA会長を勤めてまいりましたが、この度、退任することになりました。この間、皆様から頂いた温かいご支援、ご協力に対し、心より感謝申し上げます。
 日本の平和と安全さらに東アジアの発展のために「日米同盟」が必要不可欠であり、それを有効に機能させるため、JAAGAは航空自衛隊と米空軍の信頼関係増進に努力してまいりました。これからも、新会長を中心として、この目的に向かって地道に努力されることを祈念します。私も微力ながら、側面から協力をしていきたいと思います。最後に、日本にとって今、日米同盟強化が最重要課題であるという想いを述べさせていただき退任の言葉とします。

 米国防総省は、昨年、議会報告「中国の軍事力」を発表しました。この報告書によると、中国が公表した軍事費の2、3倍にも及ぶ巨額の軍事費(最大推定9兆円)を投じて軍事力の増強を進めていること、台湾問題を解決した上で、「中国の台頭のため、諸外国軍の封鎖を打ち破り、大洋を抜けていく」考えであること、東アジア共同体を推進し日米を分断するとともに米国をアジアから排除しようとしていること、反国家分裂法により台湾島内世論を威嚇分断し、合わせて日米が台湾を支援しないように政治、外交、軍事的な圧力を行使することなど、中国の脅威が強調されています。
 米ソ冷戦時代は、全世界が政治、経済、軍事すべてを含めた対峙の枠組みの中で、日本は多数の中の一人で、周りに倣えば良かったのですが、この新たな脅威に対しては、日本が果たさなければならない役割が大変大きいのであります。すなわち、東アジア共同体だけでなくアジア太平洋のいかなる地域的枠組みといえども米国が参加しない限り有効に機能しないことは言うまでもありませんが、その米国をアジア太平洋の中に引きとどめ、関与させる役割を果たしうるのは日本をおいてほかにないからです。しかし、今の日本は「中国の経済力」への関与を深めたいという想いが、中国の脅威に対峙しなくてはならないという意思を鈍らせているようです。中国はそれを読み切った上で、日本の国論を分断し日米を離間させようとしていることを認識すべきであります。一見「対峙」と「関与」の二者択一的な選択をしなければならないように思えますが、毅然とした「対峙」が経済上の「関与」をも引き出すことを忘れてはなりません。そして、この毅然とした「対峙」こそ、不動の日米同盟と強い抑止力であります。
 米軍再編に伴う同盟協力がちぐはぐしている昨今ですが、日本の将来を見据えた国家安全保障のため、何をどの程度忍ぶかを真剣に考え、日米同盟の強化を図るとともに、独立完結性の高い防衛力による強力な抑止力を構築することが、今日本に求められる最優先課題であると考えます。
JAAGAに栄光あれ!
  第4代会長 村木 鴻二


村木鴻二元会長 退任挨拶