平成17年10月6日、正会員の横田基地の研修が実施された。この研修は平成12年度に始まり、概ね2〜3年に1回の割合で実施してきた。平成15年度に続く3回目の今年度の参加者は大串康夫団長以下、会員9名・担当常務理事等6名の合計15名であった。 一行はJR福生駅に集合し、米軍出迎えのバスに乗車し福生ゲート経由で第5空軍司令部庁舎に到着した。庁舎前では第5空軍3部長マーク・モウ大佐(Col. Mark Mouw)の出迎えを受けた。記念撮影の後、会議室で関係幕僚が陪席する中、「第5空軍アップデイト・ブリーフィング」を受けた。計画段階では第5空軍司令官・副司令官が本研修に出席される予定であったが、急遽開催された将官会同で不在のためモウ大佐が代行された。

 先ず、正会員の基地研修を歓迎する旨の言葉があり、日米双方の参加者紹介、続いて「第5空軍の現状」の説明あった。その中で、有事の作戦戦闘指導を行う「Kenney Hq.(仮称)」がヒッカム空軍基地内に設置されたとの説明があった。少将又は准将を長とする航空作戦調整エレメントが編成され、必要な事態が生起すると必要な場所に派遣されるそうだ。新組織は理解しにくい面もあるが、「有事戦闘指導部」的性格の司令部と、その指揮下で各戦闘正面に派遣される航空作戦調整エレメントを編成し、有事の航空作戦を効率的に行うことを目的としているようだ。仮称の「Kenney」は太平洋戦争中、米軍が反攻を開始した時期に第5空軍司令官として勇名を馳せたジョージC.ケニー将軍に由来する。 概況説明に続き11時からは374航空団副司令クルーレン大佐(Col. Doug Kreulen)自らの説明による基地内バス・ツアーが催行された。飛行場地区を含む基地内主要施設を回り説明を受けた。横田基地は開設後50年を経過し施設の老朽化が進み、現在136件に及ぶ建物の改修計画を推進中であり、また現有C-130型機に適合する新格納庫を建設中であった。バスツアー中、横田基地の空輸物資のハブ機能、緊急派遣物資・車両の集積・保管等、基地全般の活動状況について説明がなされた。空自C-130のイラク派遣前の「SAM対処」のための着陸訓練を横田で実施したとの説明が大変興味深かった。

 昼食会は将校クラブで開かれマウ大佐以下の主要幹部を交えて和やかな懇談の場となった。午後はAFN(Armed Forces Network)の研修から始った。国道16号線を横断し基地の西側に所在する西部住宅地区内にある局舎に入り、最新の器材に更新され全世界規模で連接されたネットワークと番組・ニュースの製作・編集・放映(放送)等の現場を見て回った。 次に、最近竣工した「Air Force Inn」を研修した。ベッドルーム、ダイニングルーム、バストイレ、台所を完備し従前のVOQと比べ隔世の感があった。これにより宿泊費はシングル1泊43$となり随分高くなったようだ。 最後の研修箇所は730AMS(Air Mobility Squadron)。C-17、C-5、C-141に対する支援、所要部品のベンチストック、搬入・搬出される物資の区分け・荷造り・搭載等を12時間交代のシフト勤務で実施している実態に触れることが出来た。日本国内の配送で航空機によるよりも陸送したほうが効率的な場合には日本の民間陸送業者との契約によるトラック便を活用している点が目新しかった。予定のC-17型機の研修は当日の飛来予定が変更となり中止された。

 研修を終了し、支援を頂いたモウ大佐の見送りを受け横田基地を後にした。今回の研修も米軍側の熱意が随所に感じられ、中身の濃い内容であり、研修成果は大なるものがあった。  (村田常務理事記)

 

平成17年度正会員の横田基地研修